市川学園鉄道研究部

TOP>研究特集>千葉のローカル線のすすめ

研究特集
「千葉のローカル線のすすめ」

1.いすみ鉄道


 千葉県のローカル線の代名詞とも言えるいすみ鉄道(いすみ鉄道いすみ線)は、いすみ市の大原駅から、大多喜町の上総中野駅までの26.8kmを結ぶ路線である。かつては木原線としてJRが保有していた。
 いすみ鉄道の最大の長所は、沿線の菜の花を見て楽しめることだ。春になると、大量の菜の花が咲くので、景色が真っ黄色になり、とても綺麗である。都会の路線は、沿線がビル街や住宅街であることが多いので、都会ではこのような綺麗な景色見ることができない。毎年菜の花が咲く時期になると、いすみ鉄道は大量の観光客で混雑するが、シーズン外に乗りに行くのはもったいないので、多少混雑していても春に乗りに行くべきである。とにかくきれいな景色を見たいという方にいすみ鉄道はおすすめ。


2.小湊鐵道


  小湊鐵道(小湊鐵道線)は、市原市の五井駅から大多喜町の上総中野駅のまでの39.1kmを結ぶ路線である。上総中野駅でいすみ鉄道に接続している。ターミナルの五井駅は、今回紹介する路線のうち最も都心に近い。
 小湊鐵道の最大の長所は、トロッコ列車に乗れることである。小湊鐵道では、金・土・日曜日に、「里山トロッコ」という一部窓の無いトロッコ列車が運行されている。都会の鉄道は原則として密閉空間なので、開放的な列車はローカル線特有のものである。先頭の機関車は一見蒸気機関車のように見えるが、実は蒸気機関車をモチーフにしたディーゼル機関車だ。また、4両の客車の天井は全てUVカットガラスであるほか、窓がついている1号車と4号車には冷房が完備されている。このように、トロッコ列車でありながら最新型の装備であることが里山トロッコの特徴のひとつである。なお、トロッコ乗車の際には乗車券のほかに500円の整理券が必要なので注意。トロッコ列車に乗りたい方には小湊鐵道がおすすめ。


3.久留里線


  久留里線は、、木更津市の木更津駅から君津市の上総亀山駅に至る32.2kmの路線である。千葉県内のJR線では唯一の非電化路線だ。  当初の計画では、この路線は木原線として、上総中野経由で大原まで開通する予定だった。しかし、計画が変更され、現在の久留里線といすみ鉄道の部分だけが開通し、上総亀山〜上総中野間はお蔵入りとなってしまった。
 久留里線の最大の長所は、ローカル線でありながら車両が新しいことである。ローカル線の車両は、旧型のものを使用していることが多い。基本的にはそれも含めてローカル線のメリットだが、新しい車両が好みという人もいるはず。久留里線は、車両がオールロングシートなうえ総武線の黄色い電車よりも新しく、比較的乗り心地も良好である。さらに利用客の層も他のローカル線とは異なり、観光客は比較的少なく、利用客のほとんどは沿線住民と見られる人だった。ローカル線というものを履き違えていることは若干否めないが、もちろん車窓はローカル線特有ののどかな田園風景である。都会とさほど雰囲気の変わらない車両でローカル線の景色を楽しみたいという方に久留里線はおすすめ。


4.鹿島線


 鹿島線は、香取市の香取駅から茨城県鹿嶋市の鹿島サッカースタジアム駅という臨時駅を結ぶ17.4kmの路線です。今回紹介する路線で唯一、通常通り直流1500Vで電化されていて、幹線用の電車が走っている。平野部を走っていること、ほぼ全線が高架で踏切が1台もないこと、東京・横浜方面からの直通列車が存在することなどが特徴である。
 鹿島線の運転系統はやや複雑だ。鹿島線自体は香取〜鹿島サッカースタジアム間を示し、鹿島サッカースタジアム駅から水戸駅までは、大洗鹿島線という第三セクターの非電化路線が敷かれている。しかし、JRの普通列車はすべて成田線の佐原駅に直通するほか、鹿島サッカースタジアム駅にJRの車両は直通せず、大洗鹿島線の車両が水戸駅から鹿島神宮駅まで運行している。
 鹿島線の最大の長所は、開放的かつ長大な橋をゆっくり渡ることである。都会の鉄道にも江戸川や荒川などを渡るシーンはあるが、近くに他の国道などの橋も通っているので、少し圧迫感がある。しかし、鹿島線が利根川や常陸利根川を渡る際は、周辺に何も無く開放感がある上に、列車のスピードも比較的ゆっくりなので、川を眺めて落ち着くことができる。開放的な風景を眺めて落ち着きたいという方に鹿島線はおすすめ。



5.銚子電鉄


 銚子電鉄(銚子電気鉄道線)は、銚子駅から外川駅までの6.4kmを結ぶ路線である。住宅街を突っ切るようにして建設されたことが特徴である。また、全線が直流600Vで電化されていて、電圧が低くなっている。  銚子電鉄の長所は、レトロな車両に乗れることである。久留里線とは対照的に、非常に古い車両が走行している。画像の車両は1957年から製造されていたとても古い車両である。さらに、最近内装もわざわざレトロに改造された。古い車両に乗りたい方に銚子電鉄はおすすめである。


6.ローカル線に乗る際の注意点


 ローカル線は、乗って楽しむことができるが、乗車の際には注意点がいくつかある。
(1)本数が少ない
 今回紹介した路線の多くは、おおむね1、2時間に1本と、比較的本数が少なくなっている。極端な例だが、小湊鉄道の末端区間は、平日は1日6本、土休日は1日5本しかないので、乗車の前には十分な計画を立てること。
(2)IC乗車券が利用できない
 今回紹介した路線はすべて、SuicaやPASMOなどのIC乗車券を利用することができない。きっぷを購入するか、乗車駅証明書を発行して車内または着駅で精算することになる。
(3)駅できっぷを発売していない場合の運賃の支払い方について
 先程「車内または着駅で精算」と書いたが、この意味について説明する。無人駅からワンマン列車に乗車する場合、駅で乗車駅証明書を発行するか、車両の入り口の整理券を取り、降りる際に運転台後ろの運賃箱に運賃と一緒に投入するのが一般的である。この際、2両以上の列車の場合は、後ろの車両のドアは開かないので注意。車掌が乗務している場合、きっぷを持たずに乗車してから車掌にきっぷを購入する。特に、企画乗車券は駅で発売していないことが多いので注意。改札を通過するときは、有人改札で駅員に事情を話せば通れるのでご安心を。


7.まとめ


(1)ローカル線には、景色、トロッコ列車、レトロな車両など、幹線にはない長所が多数ある。
(2)いすみ鉄道、小湊鉄道、久留里線、鹿島線、銚子電鉄のように、千葉県内だけでもローカル線はたくさんあり、簡単に乗りに行くことができる。
(3)くれぐれも、本数が少ない、IC乗車券が使えないなどといった不便な点にだけは注意。

TOPに戻る ページ先頭へ


このホームページに記載してある全ての写真、情報の著作権は市川学園鉄道研究部に属します。無断転載を固く禁じます。